「話す力」を「お金」に変える習慣

カリスマ婚活アドバイザーとして知られる著者、西澤史子氏。彼女はコミュニケーション・アドバイザーとして多くの業種・業界のエグゼクティブと会ってきた。その数は何と3000人以上にものぼる。

西澤氏はこの経験のなかで、年収300万円で終わる人と、年収1500万円以上を稼ぐ人とでは、決定的に違う点があることに気が付いたという。それが、本書のテーマ「話す力」である。

ここで言う「話す力」とは、「自分の思いを伝え、多くの人を巻き込み、そして実現していくために必要な話し方」のことを指す。これらのスキルは多くの書籍において、ビジネス・リーダーが求められる「○○の力」として既に紹介されているものも多く、少し既視感を覚える方もいるかもしれない。

それでは、なぜこの本を読むべきなのか。それは西澤氏が特に「一言一句にこだわっている」という点に尽きる。エグゼクティブは他人を自らの行動に巻き込んでいく力を持っているが、それを発揮するためには「この言い回しでないと有効でない」というルールのようなものが存在する。本書はそうした「言い方」まで手取り足取り指南してくれる一冊なのである。

これまでの「伝え方」「話し方」に関する書籍を十分に活用できなかった方でも、本書に書かれていることを繰り返し実践していくことで相手に好印象を与えることができるようになるかもしれない。

本書の要点

 
 
  • 要点
    1
     エグゼクティブは「物事」を「具現化」して「お金」に変える術を持っている。本書ではそれらを「巻き込み術」「人間関係の築き方」「聞き方」「大原則」に分けて紹介・解説している。
  • 要点
    2
     エグゼクティブは、「今度ぜひ飲みに行きましょう」というセリフを「話だけ」で終わらせるようなことはしない。稼ぐためには、話したことをすぐに実現するスピードが必要だ。
  • 要点
    3
     エグゼクティブは相手を認め、ほめることで、聞く人にプラスのエネルギーを与え、やる気を喚起させる。それらは周囲の聞いている人にもプラスの影響を与え、成功に導く効果がある。

要約

 
 

【必読ポイント!】 「巻き込み術」

話したことの実現スピード=有能さである
Fuse/Fuse/Thinkstock

本書は4章構成で、各章においてエグゼクティブの持つ「話す力」が語られている。第1章では周囲の人を「巻き込む」力について述べられており、ハイライトではそのうちのいくつかを紹介していきたい。

冒頭で語られているのはビジネスのおつき合いでよく飛び交う、「今度ぜひ飲みに行きましょう」というセリフだ。挨拶代わりに何気なく口にはするものの、本気で「ぜひ飲みに行きたい」というほどの気持ちもなく、相手も「ええ、ぜひ」とは言うものの、双方ともに「すぐに飲みに行くことはなさそう」と思うことが多いのではないか。

エグゼクティブの多くは、こういうときも「話だけ」で終わらせるようなことはしない。どこにチャンスや有益な情報、出会いがあるかわからないからだ。稼ぐためには、話したことをすぐに実現するスピードが必要である。

「今度飲みに行きましょう」と言いっ放しにはせず、「いつごろならご都合がいいですか?」「誰か同じ業界の人をお誘いしましょうか?」「どんなお料理がお好きですか?」など、すぐになんらかの形で提案する。

「あの人は仕事が早い」と言われる人は、話を実現するスピードが評価の重要な対象になることを知っている。世の中の評価はスピード=有能さなのだ。

「前向きに検討します」といった当たり障りのないセリフではなく、「いつにしますか?」を口グセに、まずはすぐ行動に移すことから始めるべきである。

「なので」「だから」を使う
Jacob Wackerhausen/iStock/Thinkstock

西澤氏曰く、どんな仕事をしていても「稼げるチャンス」は必ずある。しかし、チャンスに気付かないこともあれば、気付いてもそれをうまく利用できなかったり、チャンスを利用できても後が続かなかったり、ということもある。

つまり、小さなチャンスをものにして、それを育てていくことが大きな成功につながるのであり、そのためにはいつなんどきも敵をつくらず、周りの人の協力を経て、物事を動かしていかなければならない。

次の話し方を見比べてみてほしい。

①「この書類とてもよくできているよ。でも、内容については時系列で表記したほうがわかりやすいね」

②「この書類とてもよくできているよ。だから、内容については時系列で表記したほうがわかりやすいね」

接続詞以外は全く同じ内容だが、この違いだけで話の「印象」が大きく変わる。①のように自らの主張の後に「けれど」や「でも」といった接続詞をつけると「否定」の印象を強めてしまうのだ。

一方、②のような話し方は相手のモチベーションを上げることができる。モチベーションの高い部下をもつことは、上司にとって最大の財産なのだ。エグゼクティブはみな、この接続詞の重要性を理解している。

もし否定的な印象を与える接続詞を使う習慣があるのであれば、すぐにやめるべきだ。

「人間関係の築き方」

断り方で相手を不快にさせない

第2章ではエグゼクティブの「人間関係の築き方」について、いくつかのポイントが紹介されている。ここではそのひとつを取り上げたい。

厳しい条件の提案や、定時間際の仕事の依頼、気乗りがしない飲み会への誘いなど、仕事でもプライベートでも、本当は断りたいのに断り切れず、「断る」ことに苦労している人は多いのではないか。「断る」ことは「拒否」の意思表示になるため、それは相手に多少なりとも不安を抱かせたり、不快をもたらすアクションと言える。

しかし、エグゼクティブは常に限られた時間を上手に管理することで成果をあげている。彼らは断ることで仕事とプライベートのタイムマネジメントをしているのだ。

本書では上手に断る二つの方法が紹介されている。

一つ目は、相手の誘いを予測して、「事実」と「相談」を組み合わせて防御線を張る方法だ。

例えば今週末の金曜日は恋人とのデートがあるのに、上司から飲みに誘われる可能性がある場合、あらかじめランチや休憩などちょっとした雑談の際に、さりげなく「今日は予定がある」ということを伝える。

「今日は、実は彼女とデートなんですけど、何かプレゼントをもっていきたいんですが、どんなものがいいと思いますか?」というように、「事実+相談」の組み合わせにすれば、相手に不快な感情を抱かせずに防御線を張ることができる。

二つ目は、「断り」と「提案」で代替案を提示する方法だ。

「今日はどうしても外せない用事があるのですが、明日か明後日はいかがですか?」と「断り+提案」にして返せば、相手に断られたという感覚を少なくさせることができる。

「聞き方」

人は「自分」にしか興味がない
Ingram Publishing/Ingram Publishing/Thinkstock

第3章ではエグゼクティブの「聞き方」について、いくつかのポイントが紹介されている。コミュニケーションにおいて大切なことは「聞くこと」だ。したがって、「話す力」と同時に「聞く力」も磨かなくてはならない。

常に意識していなくてはならないのは、「人間は話すときも聞くときも、一番興味があるのは自分自身」だということだ。しかもそれは、話す場所が「講演会」や「プレゼンテーション」のように、自分一人である程度の時間を話し続ける場合であっても、一対一の「会話」であっても同じことなのである。

スピーカーも講演会の聴衆も、また会話の相手も、聞く人はその話が「自分」に関係があることかどうか、自分に得るものがあるかどうか、あるいは自分にとって心地よいものであるかどうか、という基準で「聞くべきか」を判断する。話すときも、聞くときも、「聞き手は自分に私に興味があるのではなく、自分自身に興味があるのだ」ということを忘れてはならない。

会話を弾ませる三つの聞き方
imtmphoto/iStock/Thinkstock

日本人はもともと自分を積極的にアピールしたり主張したりすることが苦手だ。欧米人のようなアピール上手の人を見ると憧れを抱き、感心するかもしれないが、それが相手に対する好感や信頼にはつながりにくいのだ。

言い換えれば日本人は、「しっかり自分の話を聞いてくれる」という印象を与える人に対して、信頼や好感を抱きやすいのである。本書では相手が「もっと話したい」と感じて会話を弾ませるための三つのポイントを紹介している。

一つ目は、「リズムを合わせる」ということだ。重要なのはスピードではなくリズムで、相手がブレスするとき、すなわち「息を吸い込むタイミング」や「話がひと段落するタイミング」に合わせて、コメントをはさむのが良い。相手が話している最中に口を出すと、「話をさえぎった」という印象を与えるからだ。コメントは内容以前にリズムよくすることを心がけるべきである。

二つ目は、「相手のテンションに合わせる」ということだ。嬉しい話や楽しい話をしている場合、相手のテンションがさらに上がるようなリアクション、コメントを心がけるべきだ。相手のテンションレベルを基準にし、相手が5のテンションで話しているのであれば、あなたは6以上のテンションで応じるのである。反対に話の内容が悲しいものだったり深刻なものだったりした場合は、相手が2のテンションで話しているのなら、あなたは1以下のテンションで応じるべきだ。不必要に自分のテンションを上げて、会話を無理に明るくしようとしてはいけない。

三つ目は、「ノンバーバルコミュニケーションを連動させる」ことだ。リズムとテンションをしっかり意識しても、言葉だけでは聞き上手と感じてもらうことは出来ない。笑顔や目をみはって驚く表情、深くうなずく動作といったことも、コミュニケーションの大きな要素なのである。

「大原則」

相手の「やる気」を喚起させることにフォーカスする

最後の章である第4章では、「話す力」の大原則が語られている。ここでは、そのうちの2つについてご紹介したい。

成功した人は無意識に相手に対してプラスのエネルギーを与える言葉、つまり相手を認める、ほめる言葉をプレゼントしている。相手の長所を見つけ、誰に対しても素直に認め、ほめることができる人は、必ずビジネスでもプライベートでも成功する、と西澤氏は断言している。

例えば、「毎回お会いするたび、本当に勉強になります」「その着眼点はすごく新鮮です。豊富なご経験に裏打ちされた言葉というのは、やはり説得力がありますね」「いつもありがとう。細かいところに気づいてくれて本当に助かっているよ」といった言葉だ。

こうした相手を認める言葉は、聞く人にプラスのエネルギーを与え、やる気を喚起させるだけでなく、そこに同席して聞いている人にもプラスの影響を与える。外見や趣味、仕事に対する姿勢あんど、どんなことでもいいから、相手の「いいな」と思う部分があるのならばそれを口にしてほめるべきである。

自分の伝えたいことをまとめる
Wavebreakmedia Ltd/Wavebreak Media/Thinkstock

話すことは生きるうえでとても重要な能力だ。相手に伝わらなければ、どんなに立派な考えをもっていても、どんなすばらしいプランや商品をもっていても、誰にもわかってもらえない。だからこそ、考えてから発言することを意識することが重要となる。

考えをまとめるときには、大きな流れやポイントをメモにし、それをつなげるだけでよい。そのとき、相手の心に残るようにするには英語の文法を意識すると効果的だ。英語は結論や重要なことを最初に伝える。例えば「私は自転車が欲しい」と言うよりも、「私は 欲しい 自転車を」という英語の語順で言い直した方が、「自転車が欲しい」という気持ちが強く伝わるはずだ。

自分の考えを伝えるためには、まずセンテンスを短くすることを心がける。そしてシンプルな表現をすることによって、相手の頭のなかも整理され、より伝わりやすくなるのだ。新聞の記事のようにシンプルな内容を、感情を込めつつ、間やためを使って表現することを心がけてほしい。

一読のすすめ

 
 

注:ハイライトでは西澤氏が語る、7つのエグゼクティブの「話す力」を紹介しているが、本書で紹介されている内容(全部で34の習慣について記している)の一部に留まっている。ハイライトを読んで興味を持った方はぜひ本書を手に取り、続きを読んでいただきたい。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です