一人になりたい男、話を聞いてほしい女

ベストセラー『ベスト・パートナーになるために』を生み出した著者、ジョン・グレイの待望の最新作が登場した。著者は、「男は火星から、女は金星からやってきた」と、男女の生物学的な違いを提示し、良いパートナーシップを築くための黄金法則を説いたことで、世界的にセンセーションを巻き起こした。あれから25年。「今でもその内容は有効なのか?」という質問が、著者のもとに多く寄せられているという。

世界はこの四半世紀で大きな変化を遂げた。働く女性が増え、男性も家事などに積極的に参加するようになった。これにより、働く女性は男性的側面を、それに協力する男性は女性的側面を持つようになり、カップルの関係も変わりつつある。だが、生物学的な男女の違いというものは依然として存在する。それは、「男らしさ」につながるテストステロン、「女らしさ」につながるエストロゲンというホルモンの影響もあるのだという。適切なホルモンのバランスは一人ひとり異なる。バランスのとり方を学ぶことで、ストレスも解消され、より良い関係性が築けるというのだ。

こう聞くと、男女平等の流れに反するのではないか、と思う方もいるかもしれない。だが、「真の男女平等」についての著者の定義を読めば、その考えは良い意味で裏切られる。そして、男女の関係性について新たな視点を数多く得られるにちがいない。パートナーとの愛情にあふれた関係を育むことはもちろん、職場での人間関係を円滑にすることにも役立つ一冊である。男女の関係性のアップデートを今こそ!

 

本書の要点

 
 
  • 要点
    1
     男女関係は、男女それぞれが役割(ロール)を果たす「ロールメイトの関係」から、心の満足を味わい、魂(ソウル)でつながり合う「ソウルメイトの関係」へと変化した。
  • 要点
    2
     生物学的な男女の違いを受け入れながら、相手のニーズを理解することが、愛情あふれる関係を築くうえでのカギとなる。
  • 要点
    3
     男らしさにはテストステロン、女らしさにはエストロゲンというホルモンが関係しており、男女それぞれのストレスの軽減にも影響を与えている。

要約

 
 

25年前とは変化を遂げた男女関係

火星と金星を超えて
fizkes/gettyimages

25年前に書かれた『ベストパートナーになるために』 では、男女が次のように定義されていた。男性は、自立・実用性を重んじるといった特徴を持つ火星人。そして女性は、他人とのつながりや共有を重んじる金星人だという。しかし今では、男女の役割は以前ほどはっきりと区別できなくなった。そのため、よりよい男女の関係を築くには、従来の「火星人と金星人」という概念を超えた、新しい知恵が必要になる。

現代では、外で働く女性には火星人の傾向が、家事をする男性には金星人の傾向が見られるようになった。男女が男性的特性と女性的特性の両方を受け入れ、その時々の状況に応じて役割を柔軟に担えるようになったといえる。

このことは、私たちの脳や身体にも影響を及ぼしている。日中の行動が脳を変化させ、体内でさまざまなホルモンの分泌が促されることがわかっている。肉体労働や弁護士など、従来の男性的な仕事では、男女ともに男性ホルモンのテストステロンの分泌が刺激されやすい。一方、保育士や看護師などの女性的な仕事では、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が刺激されやすくなる。

大事なのは、男性ホルモンと女性ホルモンの健全なバランスをとることである。たとえば男性的な仕事をする女性は、家庭での女性らしさの表現が必要となる。このバランスがとれないと、退屈や不満、空虚さなどを感じやすくなる。このことは、カップルが恋愛感情を失う原因にもなってしまう。

逆に適切なバランスのとり方を知れば、自分らしく振る舞うことができ、パートナーが真に求めているものを理解しやすくなる。生物学的な男女の違いを受け入れながら、相手のニーズを理解することがカギとなる。

ロールメイトからソウルメイトへ

以前は、男が働き、女が子育てをするという役割(ロール)を果たす「ロールメイトの関係」が築かれていた。しかし、現在求められているのは、お互いが自身を偽ることなく、心の満足を味わえる関係である。つまり、魂(ソウル)でつながり合う「ソウルメイトの関係」だ。

男女はパートナーに対し、相手への深い愛情をさまざまな形で表現するよう求められている。そして関係が終わる理由も、物質面より精神面に起因する場合が増えてきた。たとえパートナーがしてくれること(家事への積極的な参加・安定した生活など)に不満はなくても、相手からの愛を感じられず、心が満たされないと失望してしまうのだ。現代のカップルは、このような問題への具体的な対処策がわからずにいる。

もちろんソウルメイトの関係はすぐに築けるものではない。それぞれのジェンダーの特性をよく理解して、失敗を重ね、自らを正し、相手を許し、共に成長しながら達成していくものなのだ。

男女の違いを知り、受け入れる

「男らしさ」と「女らしさ」のホルモン
lolostock/gettyimages

現代では、女性は「人とは違う自らの才能の表現」という内なる男らしさを発揮できるようになった。同時に、男性は「愛と献身」という内なる女らしさを表現できるようになった。男らしさ、女らしさの最適なバランスは人によって異なる。男らしさの特性として挙げられるのは、自立・冷静・強さ・競争などだ。一方、女らしさの特性は、共生・情緒・繊細さ・協力などである。

これらの特性の違いは、実はホルモンによって生じるものだ。男らしさを表現するとテストステロンが、女らしさを表現するとエストロゲンが増加する。

また、男と女は生物学的に大きく違うため、ストレスを緩和し、幸福感を得るのに必要なホルモンも違う。そのホルモンを刺激し、ストレスを減らすことで、心が安定し、パートナーを上手に支えられるようになる。

男はテストステロンによって、女はエストロゲンによって、ストレスを減らせる。心身の健康のために、男性は男性的な行動をより多くとり、高いテストステロンレベルを保ち、エストロゲンレベルを低くしなければならない。逆に女性は、職場で働くとテストステロンレベルが高まるため、プライベートではエストロゲンレベルを高める行動をとることが望ましい。

真の男女平等とは

世界でもっとも男女平等が進んでいる国の1つは、ノルウェーだという。この国では男女の役割分担は、職場でも家庭でも平等であることがよいとされている。それゆえに、あらゆる職業で、男女の比率が同じだと思われがちだ。

しかし実際はそうではない。幼稚園・小中学校の教員、看護師といった従来の女らしさが求められる職業では女性が、運転手、技術者などの男らしさが求められる職業では男性の比率が高い。

この現象は「ノルウェー・パラドックス」と呼ばれており、男らしさ・女らしさのバランスに基づくものだ。ノルウェーでは家庭内で女性が女らしく、男性が男らしく振る舞うことが推奨されていない。そのため、家庭外でそれぞれが自分の性別らしく振る舞うことで、バランスをとろうとするというのだ。

男女平等というのは、男女の性差をないものとしてとらえることではない。真の男女平等とは、違いがあることを認め、それを尊重することだ。人にはそれぞれ男らしさと女らしさのバランスがある。「男と女は同じ生き物だ」という社会通念に従っていると、相手の理解や感謝が難しくなり、恋愛感情も冷え込んでしまう。

【必読ポイント!】 男女それぞれがパートナーに求めること

男性のストレスにはテストステロンを

男性も、家庭では世話、職場では顧客への繊細な配慮といった、女性的な特性を発揮できるようになった。これ自体は喜ばしいことだが、その分、男性らしさを取り戻すための時間が必要となる。それが理解されなければ、男性のストレスは増え、人生に対する不満も高まってしまう。

健康かつ幸福でいるためには、男は女性の何倍ものテストステロンが、女は男性の何倍ものエストロゲンが必要となる。同じ行動をしても、男女の身体ではまったく異なる反応が起きる。男性の場合、テストステロンレベルが低すぎると、ストレスや疲れ、抑うつなどを感じやすくなる。一方、エストロゲンレベルが高すぎると、怒りや自己防御、攻撃性などを感じやすい。

男は女にこうしてほしい
gpointstudio/gettyimages

男性がテストステロンを回復するには、女性的側面から一時的に離れ、男らしさを回復する必要がある。回復に役立つのは、「洞窟タイム(自分の殻にこもる時間)」をもつことだ。たとえば、帰宅後に自室にこもって趣味に没頭する、テレビでフットボール観戦をする、などである。男性はストレスのない状況で、20~30分テストステロンを刺激する活動を行えば、テストステロンレベルを回復できる。

男性のテストステロンレベルの回復には、女性の愛情やサポートが絶大な効果をもたらす。女性が意識しておくとよい点をいくつか挙げてみよう。

・「自立」:おせっかいなアドバイスをしない→男性は「信頼されている」「自力で目的を達成した」と実感できる。また、自分の行動を評価され、パートナーと多くの時間を過ごしたくなる。

・「冷静」:男性の洞窟タイムをネガティブにとらえない→男性はリラックスできるので、問題を熟考できる。気持ちの整理ができたら、パートナーの話にじっくり耳を傾けられる。

・「自信」:不満・批判をせずに男性を受け入れる→男性の中に、女性を幸せにできるという自信が生まれる。

女性のストレスにはエストロゲンを

女性の場合、テストステロンレベルが上がり、エストロゲンレベルが下がると、認知症リスクが高まる。また、低すぎるエストロゲンレベルは、心臓病やがんの発症率を高めてしまう。過去の研究によると、女性のストレス軽減にはオキシトシンの分泌を促す行動が役立つという。オキシトシンは男女問わず、愛情や信頼、安全と関わりがあるホルモンだ。

オキシトシンの分泌を促す代表的な行動は、肌の触れ合いだ。女性にとって非性的な触れ合いは重要だ。寝る前にベッドで抱擁をすると、オキシトシンが分泌され、エストロゲンが増える。そのため女性はストレスが減り、男性も眠りやすくなる効果がある。

女は男にこうしてほしい

女性は、女らしさを表現できるという支えをパートナーから受けていると感じると、オキシトシンの分泌が増える。そして、女性はパートナーをもっと支えたくなる。ここで、男性の支えが、女性のオキシトシンとエストロゲンの増加に役立つ例を挙げてみよう。

・「共生」:抱擁し愛情を表現する→女性は誰かに支えられていると感じ、男性の支えに感謝したくなる。

・「情緒」:批判せずに話を聞く→女性はパートナーから認められていると感じる。

・「信頼」:思いやりを持つ→愛情深くなり、パートナーのありのままを受け入れられるようになる。

とりわけ、男性に話を聞いてもらうことは、女性のストレスの軽減に絶大な効果がある。

人生の新たなステージへ

聞いてほしい女、褒められたい男
nd3000/gettyimages

ネガティブな気持ちをパートナーに打ち明けたとする。男も女も、それを聞いてもらえていると感じると、エストロゲンが増え、テストステロンが減る。男女それぞれのホルモンバランスを考えると、より大切なのは、女性が男性の話を聞くことではなく、女性が男性に話を聞いてもらうことだといえる。

また、男性のテストステロンを増やし、最高のパートナーシップを築くための最善策は、女性が男性を褒め、感謝を伝えることだ。女性は気に入っていることよりも、気に入らないことのほうを、相手に伝える傾向がある。だが、女性がポジティブに感じているということを表現すれば、男性の気分を良くすることができる。

女性が男性の考えを聞く際には、「なるほど。いいアイディアね」などの褒め言葉を使うとよい。一方、男性は「もっと詳しく聞かせてよ」などと、女性の話に興味を示していることを表現するとよいだろう。

もし、不満をパートナーに伝える場合は、そのまま伝えると、相手は「私は批判され、コントロールされている」と感じてしまう。そのため、そうした感情を引き起こさないよう、「リクエスト」の形をとるのが望ましい。

(例)「キッチンカウンターの上にゴミを散らかさないで」→「キッチンカウンターはきれいにしておいてくれる?」

また、自分の好みを「参考情報」として伝える手もある。

(例)「キッチンカウンターのゴミを片付けてくれる?」→「朝にスムージーをつくったら、キッチンカウンターをきれいにしてくれると嬉しいわ。」

これらに対する返答は、「わかったよ」のみでよいことを、事前に決めておこう。

一読のすすめ

 
 

本書には、ストレスを軽減するホルモン分泌を促すのに役立つこと、パートナーとのコミュニケーションを円滑にするための伝え方のポイントなどが、実に具体的に書かれている。いますぐ日常生活で応用できるものばかりだ。

また「変わるべきはパートナーではなく自分自身」という著者のメッセージにも、ハッとさせられる。まずは自ら本書の内容を実践すれば、パートナーもその内容に興味を持つようになり、互いのよりよい時間の過ごし方、支え方を一緒に探求できるのではないだろうか。より豊かなパートナーシップを築くための黄金ルールを、家庭や職場で十二分に活かしていただきたい。

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