一生お金に困らない人生をつくる―信頼残高の増やし方

「信頼残高」とは、信頼関係の程度を銀行口座の残高にたとえたものだ。「その人に接する安心感」とも表現できる。相手に対して安心感を与えられる人であればあるほど、信頼残高は高くなる。

著者は、長年メガバンクの銀行員として、お客を見定めて信用を求め、自分たちも信用されるということを大切に働いてきた。その経験やさまざまな人たちの人生から学んだことから、どうすれば信頼残高を増やすことができるかが本書で披露されている。その答えを知り、実践していくことで、私たちは結果としてお金を引き寄せ、好きなことをして生きる人生を手に入れられるだろう。

他人のせいにせず感謝をする、虚勢を張らず自分をさらけ出す、さまざまな立場としての自分の責任を考える、数字の実現性を確認する。こんな人が評価され、「信頼残高の高い人」になれる。お金持ちの人、成功している人は、「お金」を追いかけてはいない。追いかけているのは「信頼」だ。信頼残高を増やすことに日々努力した結果、お金がしらずしらずのうちについてくる。信頼残高は一朝一夕に増えるものではない。いまはゼロであっても、これから増やしていく、ということを意識することが大切だ。

本書には自分の人生を楽しくし、より満足できるものにしていくために必要な信頼残高を得るための具体例がたくさん書いてある。お金の本質も分かりやすく説明されており、これからお金を扱うセンスを身につけたい人にもおすすめの一冊だ。

 

本書の要点

 
 
  • 要点
    1
     「信頼残高」がどれだけあるかで人生は大きく変わる。自分がなにかしたい時に、信頼残高が高ければ応援されるが、信頼残高が低いと難しい。いまからでも少しずつ信頼残高を増やしていくことを意識することで、人生は大きく変わってくる。
  • 要点
    2
     何かを始めたいなら、数字で語れるようにならなければ、信頼を得ることはできない。自分のお金の流れを把握し、収入と支出、資産と負債が見合っているかを意識する習慣を身につけよう。
  • 要点
    3
     自分の人生に満足できないなら、満足できるように自分が動かなければならない。自分こそが、自分の人生の経営者だという自覚を持とう。

【必読ポイント!】 信頼残高とは何か

信頼残高をどう積み上げるか

「信頼残高」がどれだけあるかで、人生は大きく変わる。自分がなにかしたい時に、信頼残高が高ければ賛同されたり応援されたりするが、信頼残高が低い場合は難しいだろう。信頼残高は一朝一夕に増えるものではない。が、家族や会社の仲間を幸せにしようと思い、毎日の小さなことを受け流さずにすくい上げ、感謝の気持ちを伝えることで、信頼残高は積み上がっていく。

信頼残高はお金の使い方にも表れる。銀行員は、人にお金を貸すとき、その人が収入に見合った貯金をできているかどうか、というところを見ている。堅実な人の貯金する額の水準は、手取りの15~20%だ。それほど稼いでいなくても、堅実なお金の使い方ができる人が、信頼残高の高い人だ。

信頼を得る名刺、ふるまい
©iStock/TAGSTOCK1

名刺に肩書や職種を多く載せたり、その人の夢や考えを表す「夢言葉」を記したりする人を、著者は信用しない。肩書が多いと、かえってその人が実際何をできるのかが明確でなくなってしまう。それに、「胡散臭い」と思われてしまう。銀行員的な視点でいえば、名刺はシンプルなほうがよいという。起業した人やフリーランスで仕事を始める人は、名刺をつくるところからすべてが始まるといっても過言ではない。名刺は大事なセールスツールでもあるのだから、どんなものにするかで、その後の信頼残高は違ってくることに注意したい。

話をするときも、本当に知識のある人とは、やたらに横文字や専門用語など使わず、わかりやすく本質を相手に伝えることができる。普通の言葉で話をする人が評価されるのだ。

「自分を大きく見せたい」を捨てる

本当のお金持ちや自信のある人ほど見栄を張らない。価値があるものにしかお金を費やさないし、お金持ちであることを誇示するようなことをしない。見栄のためにお金を使ってしまい借金だけが残る、自信のない人を、著者は山ほど見てきた。本質をわかっておく、というのは信頼残高を積み上げるためには大切なことだ。

20代、30代は預金残高も信頼残高も低くてもなくてもいい。だが、将来の生活や家族のことを考えて、いまからでも積み上げていけるように心がけることで、人生は大きく変わっていく。

エリート意識が危ない

「自分は勝ち組」と思わないように
©iStock/ Biscut

自分たちは勝ち組だと意識していることが多い、年収800万円から1200万円の人が危険なのだ、と著者は言う。四大支出といわれる住宅資金、教育資金、車資金、生命保険料のそれぞれで高額になりがちで、タワーマンションに住んだり子供を私立に通わせたりと、高級志向のせいでお金がいくらあっても足りない支出となってしまいがちなのだ。一方、年収500万円くらいの人は、将来を見据えてそんな生活はしておらず、お金もしっかり貯めているケースが多い。

お金が足りなくなると、カードローンで穴埋めしていくのが一番簡単だが、これが転落の始まりだ。そのうちにもっと収入を伸ばせるよう株式投資やFXなどを始め、危ない投資に近づいていく。こんな時に不動産投資のうまい話がくると乗ってしまいそうだが、これでは斡旋会社の思うツボであり、破綻は目に見えている。投資の話に心動かされる前に、お金が足りないときは支出をコントロールする必要がある。年収の3割貯めるように、見栄を張らずに支出を見直すのだ。自分は運がいいと過信せず、まわりに感謝し、謙虚になろう。

「自分は特別」ではない

経営者は、自分のことを特別だと思っている人が多い。起業は志や情熱(パッション)がないとできないことだが、それだけでは人はついてこない。

また、自分を大きく見せようとする人は、自分よりも上の人には大げさなお世辞を言ったりするが、目下の人に対しては横柄な態度をとるものだ。そういう人に社交辞令やお世辞を言われても、それに踊らされてはいけない。

お世辞ばかりでは本気の場面ではまともにつきあってもらえない。自分という人間を信用してもらうには、自分がどんな人を信用するかを考えれば分かるだろう。

行動と実績を見せる

実績を残していくための行動を起こす

銀行から融資を受けたい人は、これからのことを語りたがる。しかし、銀行が聞きたい話は、過去の実績だ。決算書が真っ赤な数字だらけの人に、お金を貸したい人はいない。

銀行のみならず、どの世界でも、まずその人は過去に照らして評価される。「今しかない」「これからしかない」と言う人は、希望残高はあっても信頼残高はない。もしまだ実績がないのなら、実績を残していくための行動を起こしていくことだ。それが将来の信頼残高につながっていく。

責任を意識する

信頼残高が低い人ほど自分を大きく見せようとするが、そういう人を見抜けないと大変な思いをすることになる。信頼残高の増やし方で大切なことは、「信頼残高の高い人」とつき合うことだ。信頼残高の低い人ばかりがまわりにいると、結局自分の信頼残高も低くしてしまう。

信頼残高は人間関係において、信頼されることがあれば積み上げられるし、それを裏切るような行為が少しでもあれば、引き出される。たとえば、自分を大きく見せようとして、「お金のことは気にしない」という経営者がいるが、社員の生活を背負う身としてお金を気にしないというのはあまりに無責任で信用を失う発言だ。社員として、経営者として、親として、子どもとして、自分の責任を自覚することが、信用につながる。

お金の本質と信頼残高の関係

数字に強くなる
©iStock/ denisenko

何か事業を始めたいなら、数字で語れるようにならなければ、信頼を得ることはできない。ビジネスでは、夢を熱く語るだけではダメなのだ。数字を示すことで説得力が増すし、それがなければ自分も周りも動けない。

数字で語るとは、自分のお金の流れ、収入と支出を把握することだ。まずは、家計簿をつけてみることから始めるといい。収支を見て、足りない分は稼ぎ、それができないなら支出を減らす。起業はしていなくても、人は誰でも自分の人生の経営は自分でしている。自分の人生では自分が社長だ。月に一度、「自分の会社」の「P/L」(損益計算書)と「B/S」(貸借対照表)を見て、自分の収入と支出、資産と負債が見合っているかを意識するようにしてほしい。

自分のお金を管理できているということが、信頼残高につながっていく。

今からできること

独立を考えている人は、メガバンクではなく信用金庫を活用するとよい。今のうちから地元の信用金庫に口座を開設し、自動積立預金を契約し、「信用」をつくっておく。メガバンクにとっては預金が1000万円あったとしてもその他大勢だが、信用金庫は個人事業主や零細企業が主な顧客なので、大切な顧客として扱ってくれ、融資を受けることもできるだろう。

借金をすることが悪いことだと思っている人もいるが、借金にもいい借金と悪い借金がある。融資を受けてアパート経営のためにアパートを購入した場合の借金は、ローンを上回る儲けが懐に入ってくるので、いい借金だ。しかし、車などを購入した場合の借金は、お金を運んでくれるものではない。つまり、消費性の借金は悪い借金だといえる。こうした違いを認識することが大切である。

無形資産を蓄える

自分の能力や技術、知識や人脈、スキルなどの物的な実体のない資産は「無形資産」である、と著者はいう。有形資産を持ちにくい若いときに、無形資産を増やしておくことで、のちに助けられることがいくつもある。

たとえば、勤務年数の長さは、融資を受けるときや転職するときに信用されやすくなるポイントだ。転職を繰り返していても、同じ業界や職種の連続性が認められれば問題ないだろう。

時間を守る、虚勢を張らない、相手によって態度を変えないなど行儀がいい人を、著者のいた銀行では、「仕振り」がいい人、というふうに表現したという。数字で測れない、「仕振り」の良さは、その人が信頼に足る人かという評価に直結する。こうした日ごろの行いはのちに非常に大事になる。

また、すべての人とWin-Winの関係を目指し、自分が貢献できることを見つけていくことも大切である。これが信頼につながり、信頼は新しい人脈を生んでいく。

人生の主導権は自分にある

人生の操縦桿を握る
©iStock/ inarik

誰もがなにがしかの看板を背負っている。どの職業においても、自分の本分を自覚することはとても大事だ。自分の本分を果たすという自覚を持てる人ほど、信頼残高を積み上げられるようになる。

もし自分の人生を「こんなはずじゃなかった」と不満を持ちながら過ごしているのなら、自分が自分の人生の経営者であるという意識を持つことで、そんな気持ちから解放される。そして、きちっと数字を押えておくことで、人生の操縦桿を握れるようになる。20歳から50歳までを第1ステージ、50歳から80歳までを第2ステージとして、自分会社の経営方針を立ててみよう。

なにか始めたいと思っても、「自分には何もない」と思っている人が多いかもしれない。が、人それぞれに無形資産が必ずある。失敗してもよいから、少しの勇気と覚悟を持って、積極的に操縦桿を握ろう。

人生は自分で拓いていくしかない

信頼残高を貯めるというのは、人を意識した行動だが、まずは自分自身を信頼するということも大切である。運命は予測しがたいもので、他人にふりまわされたり、思い通りにならなかったり、自分が信じていることが覆されてしまうこともある。しかし、安易に一喜一憂せず、与えられた場所で、期待されていることを一生懸命すればよい。

失敗をうまく乗り越えられず、引きずっている人もいるだろう。しかし、どんなことも誰か一人だけが悪いということはないので、自分だけを責める必要はない。ただし、そこで言い訳したり、正当化したりせずに、自分の失敗を認めたところに、「成長」がある。

自分の人生は自分で切り拓いていくしかない。自分を信じて、満足できないなら満足できるように、自分で動いていくことだ。

一読のすすめ

 
 

著者が25年勤めたメガバンクの銀行員時代のエピソードは、自身でも言及しているとおり、まさに「半沢直樹」のドラマさながらで、非常に興味深く読めるだろう。

生きていくにはお金ではなく、信頼が必要。それを日々重ねることで信頼残高も積み上がっていく。著者の体験や経験に基づいて書かれた内容は説得力がある。自分の人生を楽しく生きられるように、より幸福になれるように、本書を役立ててほしい。

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